TRIZ公式サイトぷろえんじにあ

第13回TRIZシンポジウムwebリポート@中野サンプラザ

 ※ TRIZとは(概要を確認する)

 2017年度の第13回TRIZシンポジウムは、9/21〜9/22に中野サンプラザで開催された。TRIZ協会関係者によると、参加者は、企業、大学、コンサルタント、個人の立場で、約130名とのことであった。シンポジウムについて、主な感想とプログラム概要は次のようになる。

<特機事項及び感想>
  1. 中野サンプラザは、中野駅前にあり非常にアクセスが良い。大中小の会議室があり、参加者数の増減に臨機応変に対応できそうである。今回の参加者の傾向は昨年と同様とのことであった。例えば、初めての参加者は約25%、多数回の参加者が約35%等。特別講演では、高木浩志 氏 ((株)大林組)から「東京スカイツリーの建設 〜世界一の高さへの挑戦」、高橋誠 氏 ((株) 創造開発研究所)から「発想の瞬間の秘密」が企画されていた。また、黒澤愼輔氏から「TRIZfest-2017」の参加報告があった。今回、海外からの発表はなく、日本の大学への留学生以外の海外からの参加者は見当たらなかった。
  2. 「東京スカイツリーの建設〜世界一の高さへの挑戦〜(高木浩志氏:大林組)」の講演はTRIZと直接かかわりないようだが、企画段階での課題と対応策、想定リスクへの対応策、プロジェクトマネジメントの視点など多くの視点で多くの聴講者の業務に参考になる内容であったと考えられる。例えば、狭い場所に世界一の高さの塔を建設する場合の強度保証、積み上げ工法での問題点のブレークスルー、強風対策、地震対策など。

<弊社発表概要>
テーマ名:サブ原理85 種を使った104 図解の新40 の発明原理 〜スマホ版発明原理のユニバーサル性を追求した試行結果〜

 日経BPの篠原さんからTRIZが日本に紹介され、今年でちょうど20年。私たちはその年にIM社からTOPEを輸入してTRIZ研究会を立ち上げ研究し始めた。その後三菱総研のTRIZ研究会にも参加しながら、マーケティング志向でパフォーマンスの高いツールづくりを実施してきた。いままでの改善、改良の結果から、集大成としてサブ原理85種を図解した40の発明原理のコンセプトを報告した。一言で表現すればこうだろう。「スマホで使える多角的視点の技術者向け直感的アイデア出しツール新40の発明原理」。
 具体的には、第1回TRIZシンポジウムにてTRIZの本質的課題を討議してから、大学や中小企業でも使えるTRIZツールづくりを目指した。その過程で、「抽象化思考の苦手な技術者や学生」が非常に多いことを痛感した。そこで、発明原理の原典を深掘りすることでブレークスルーできないかと考えた。主な具体的対応方法を以下のように整理して、ツール化を試行してきた。
(1) 無意識的に抽象化(拡大)/具現化(縮小)できるように、以下の5つの視点でアイデア出しできるようにする。例えば、2言語の原理名、原理の意味、原理イメージ図、サブ原理全リアル図解、異分野適用事例など。
(2) 技術者の不満足要因の分析結果から、アイデアの切り口を増大させる。具体的には、古典を尊重したサブ原理85種を使った104図解の新40の発明原理を考案した。
 そのツールをセミナー等で試行した結果、次のような評価となった。
(1) 「40の発明原理_全サブ原理」のコンテンツはGoogle検索でトップ表示を継続している。また、他のツール記事の検索順位も上位表示されており、その波及効果と考えられる。
(2) ほぼフルスペックのTRIZ セミナーの総合満足度のトレンドでは、今までにない満足度を得られるようになった。その裏付けとして、主な受講者の声としていくつか紹介する。

new
 発表スライド概要_日本語版
 Presentation slide_English

 なお、シンポジウムのプログラムの内容は、次のようであった。以下に列記する。

<チュートリャル> <特別講演T> <特別講演U> <国際会議参加報告> <オーラル発表>
  1. コスト低減に向けたアイデア発想とその評価法(株式会社アイデア:笠井 肇 氏)
  2. 実践におけるアイデアの収束と選択(株式会社デンソー:久永 滋 氏)
  3. ソニー半導体グループにおけるTRIZ 推進事例(ソニーセミコンダクターマニュファクチャリング株式会社:大脇 光一 氏)
  4. TRIZ を用いた電力・通信用ケーブルの開発(沼津高専:大津 孝佳 氏)
  5. サブ原理85 種を使った104 図解の新40 の発明原理(ぷろえんじにあ:粕谷 茂 氏)
  6. 人類文化の主要矛盾「自由vs 愛」を考察する(2) 個人における「自由vs 愛」の矛盾・葛藤と「倫理」(大阪学院大学 &クレプス研究所:中川 徹 氏)
  7. サービス・ロボットの進化ツリーの作成事例(その1)特許・意匠・商品マップを中心にした進化の歴史(知財創造研究分科会:長谷川 公彦 氏)
  8. 子供から東大生まで、のべ11 日、親子1000 組以上が親しんだ(出張)東大授業(マイティ:高木 芳徳 氏)
  9. QFD-TRIZ を活用した社内イノベーション推進活動(東洋ゴム工業株式会社:柏原 直人 氏)
  10. TRIZを含むオリンパス流科学的アプローチの推進(オリンパス株式会社:三木 基晴 氏)
  11. TRIZ 活用による既存製品における認識の再構築(水島プレス工業株式会社:鈴木 孝典 氏)
  12. TRIZ 活用におけるシンプルな問題解決事例(株式会社 創友:黒澤 愼輔 氏)
  13. 9画面法と願望型発想法を組み合わせた未来予測(株式会社 アイデア:緒方 隆司 氏)
  14. 「進化トレンド」の汎用的な適用方法の研究(日本TRIZ 協会 ビジネス経営TRIZ 研究分科会:伊沢 久隆 氏)
  15. シラバス「就活を解く」(日本TRIZ 協会「新しい時代の教育」分科会、シラバスサブ分科会:津曲 公二 氏)
  16. 英語論文執筆指導コンテンツ開発におけるTRIZ 活用の事例(名古屋大学:西山 聖久 氏)
  17. パラメータの物理量次元表現に基づく矛盾マトリックス体系化の提案(東京大学:村上 存 氏)
  18. 未来価値創造を推進する知的財産マネジメント(アイディエーション・ジャパン株式会社:上村 輝之 氏)
  19. 大学の高度教養教育におけるイノベーション創出教育の必要性・重要性(東北大学:田中 泰光 氏)
  20. オープンタスク問題づくりの経験(TRIZ塾:黒澤 愼輔 氏)