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第3回TRIZシンポジウム(8/30〜9/1@新横浜:東芝研修センター)webリポート

 本年度の第3回TRIZシンポジウムは、8/30〜9/1に東芝研修センター(新横浜)にて盛大に開催されました。参加者は、企業、大学、コンサルタント、個人の立場で、計202名にもなっていました。米国、英国、ベルギー、ロシア、タイ、中国、韓国など海外からも約20名も含まれています。(左の写真が発表風景)第1回からの参加者数のトレンドでみると、約50名ずつ増加傾向にあります。参加者数だけで判断すれば、米国のTRIZCON、ヨーロッパのETORIAを抜き、世界一だそうです。

 プログラムの中の講演のポイントは次のようです。招待講演として、TRIZを捉え直してその方法論を分かりやすく提唱された2件がありました。1つ目は、米国ハネウェル社のLarry Ball氏からの「階層化TRIZのアルゴリズム」、2つ目は、ベルギーCREAX社のSimon Dewulf氏からの「機能のための属性の変化」でした。 特別講演として3つ用意されていました。林利弘氏から「開発設計プロセス工学とTRIZー開発・設計技術者のためのMOT手法」、玉井誠一郎氏から「知識経済社会に対応した新しい知的財産モデルの提唱」奥住直樹氏から「東芝におけるイノベーション活動」です。さらに、今回はチュートリヤルとして、パナソニックコミュニケーションズの永瀬氏からベーシックなTRIZの解説、産能大の澤口氏からアドバンストなTRIZの解説がなされました。


 公募の一般発表テーマは、29件(海外からの発表7件を含む)で、その中に14件のポスターセッションがあり、熱い議論が展開されていました。(左図が、ポスターセッション風景)また。ポスター会場には、プロエンジニア教育研究所、(株)アイデア、日本アイアール(株)、産能大などのベンダーコーナーやTRIZ協議会のコーナーも併設されていました。

 発表の中で特に印象に残るテーマを3つあげてみました。1つ目は、樋口健夫氏の「TRIZの発想インフラを創るアイデアマラソン発想法」です。毎日アイデアを自分のノートに書きとめておくだけで頭脳が活性化されるというもので、300冊以上のノートが自分のデータベースになって、数多くの出版物につながっているということです。また、奥様やご子息もアイデアマラソンを実行なさっています。このことは、TRIZを使う以前の好奇心、問題意識、挑戦心のようなコンピテンシー(思考・行動特性)を高めるモチベーションアップ策になっているのではないでしょうか。なぜなら、たまたま偶然ですが、私は樋口氏のご子息のキャリアデザイン講座の講師を務めたことがあり、教育する以前から先天的に、ご子息のコンピテンシーが高いことに感心したことがあったからです。
 2つ目は、産能大の黒澤愼輔氏の「TRIZの有効性の方法的背景について」です。これは、ほとんどの日本人が読むことが難しいと思われるロシア語で書かれたAltshulerのまとめたTRIZの考え方の変遷について解説してされました。例えば、TRIZでなければできないこと(TRIZの差別化要因)についてや数十年前の初期の段階では必要だったが、矛盾マトリクスはもう使わなくていいと書かれていることでした。
 3つ目は、ポスターセッションに出展された石井力重氏の「TRIZのユーザを増やすにはどうすればいいか?に挑む〜宮城TRIZ研究会の独自開発ツール「智慧カード」 〜」です。これは、TRIZの敷居を低くするため、簡易ツールとして40枚のカードを作成し、ブレーンストーミングなどでつかってもらうというものです。宮城TRIZ研究会のホームページからダウンロードもできるそうです。

 また、シンポジウムでは、交流会などのプログラムもあり、徹底的な意見交換ができる場も提供されていました。