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第5回TRIZシンポジウム(9/10〜9/12@国立女性教育会館)webリポート

 2009年度の第5回TRIZシンポジウムは、9/10〜9/12に武蔵嵐山の国立女性教育会館にて開催されました。参加者は、企業、大学、コンサルタント、個人の立場で、137名でした。その中には、米国、英国、独、伊、マレーシア、中国、韓国、台湾など海外から18名が含まれています。未曾有の大不況の中でさえ、予想外に多数の人が参加されておりました。なぜなら、自費でも参加しようとされる熱心な参加者も多いためと感じました。

 プログラム中の講演のポイントは次のようです。招待講演として2件ありました。1つ目は、米国Ideation社のZlotin氏からの「技術システムの将来予測へのTRIZの利用」、2つ目は、英国のDarrell Mann氏から「TRIZ:必要だが不十分。市場および全てを包括する理論」でした。さらに、チュートリヤルとして、パナソニックの福嶋洋次郎氏から「問題の認識と解決に効果的なTRIZの実践」が話されました。


 公募の一般発表テーマは、40件(海外からの発表12件を含む)で、その中に16件のポスターセッションがあり、熱い議論が展開されていました。(左図発表が、プロエンジニア教育研究所の発表風景:TRIZ協会提供)
 発表内容は、ハードウェアへの適用事例だけでなく、ソフトウェア、ビジネス、農業などに対する研究等多岐にわたっていた。発表40件の内、USIT適用事例が6件(15%)含まれている。

 発表の中で特に印象に残るテーマを1つだけあげてみました。その発表は、神奈川工科大学の大学院一年生の濱田南さんの「チャイルドシートの改良」でした。日ごろの疑問を、TRIZの40の発明原理を活用して解決した内容でした。自動車の幼児用チャイルドシートは、実用性能が不十分と言われている。TRIZを活用することによって、幼児の乗せ降ろし労力軽減、走行中の居住性確保、衝突時の身体拘束を解決対象問題として取り上げたものでした。その結果、浅いお椀形の案内面上での揺動可能シートで、走行中の横加速度や衝突時の衝撃を幼児が骨盤で楽に受けられる構造と、それを衝突予見動作で有効活用できる可能性をもつ概念設計案にを導きだしたものです。

 プロエンジニア教育研究所からは、今年度はオーラル発表を行いました。テーマは「TRIZでキャリアデザイン」でした。キャリアデザインの狙いは、自律的に行動できる人材を倍増することでした。自律した人材が全体の20%以上に達すれば、パレートの法則(80:20の法則)に従い、組織全体に好影響を与え、組織が活性化するという考え方に基づいています。具体的手段として、従来のキャリアデザイン法に加えて、TRIZの抽象化手法の目的展開で「何のために働くのか?」を考えさせ、進化トレンドの考え方をキャリアモデルに応用させ、それらをチームディスカッションしながら、究極の理想解からあるべき人生を生きるために、どうすべきかを考えさせるものです。

 また、シンポジウムでは、交流会、多くのグループ討議などのプログラムもあり、徹底的な意見交換できる場も提供されていました。