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傾斜機能材

1 解説
 傾斜機能材とは、表裏で材質または特性の異なる材料を中間で融合させた反均質材料である。例えば、ロケットの燃焼・室内面のように数千度の高温ガスにさらされる面には耐熱性のあるセラミックスを用い、反対側の液体水素で冷却する面には金属材料を用いて、熱伝導性と機械的強度を付与する。その中間では、組成分布、組織および気孔率を連続して制御し、界面がなく熱応力に強く、機械的強度も高いという機能を達成する。
 具体例をあげれば、つぎのようなものがある。
@石英管とFGM電極の石英部間の一体シール構造
⇒接合界面に熱膨張差が無いため、ヒートサイクル時のシール部の信頼性が高まる。
A石英管内部の円筒形状にフィットしやすい円筒形状
⇒シール部の変形が少なく、両電極間の距離の高精度化が可能となる。
B電流導通部の金属断面積の拡大が可能
⇒大電流化が可能となる。

2 所見
 傾斜機能材の考え方は、素材の表面に起因する問題点を解決しようとするものであり、航空宇宙に限らず、原子力分野、医学分野など極めて広い。しかし、実際には適用例が少ない。今後、信頼性、安全性、耐久性、コストもふくめて積極的に研究開発する必要がある。