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第9回TRIZシンポジウムwebリポート@統計数理研究所 (立川市)

 2013年度の第9回TRIZシンポジウムは、9/5〜9/6に立川市の昭和記念公園の東側に位置する統計数理研究所(左の写真外観)で開催された。TRIZ協会によると、参加者は、企業、大学、コンサルタント、個人の立場で、約125名だった。その中には、韓国、イタリア、タイなど海外からの数名も含まれている。

 今回の参加者の傾向で大きな変化があった。いままで、リピート参加者が多いことが特徴であったが、1回目と2回目の参加者の割合が、約1/3から約1/2にに変化していた。プログラム上の主な変化点は次の3つ。3日間から2日間の開催に縮小されたこと。グループ討論会がなくなったこと。そして、基調講演を除いて外交からのオーラル発表者が激減したことである。開催場所の統計数理研究所は、参加者にとって、発表会場だけでなく、ホールなどリラックススペースが多く、非常に快適であった。

 基調講演を含む総発表件数は、最終的に28件(ポスター、海外からの発表1件を含む)だった。今回は、いままでの継続テーマの発表に加えて、リスクマネジメントをテーマとした発表が目立った。入門者に喜ばれている具体的なTRIZの現場での適用事例は数件にとどまり、しかも、その中身が抽象化されているため、非常にわかりにくいようであった。入門者には、「TRIZは難しい」との印象を与えたのではないだろうか。ただ、特別講演の「何が韓国をこれほどまでTRIZに熱中させるのか?(韓国学術TRIZ協会:Jeongho Shin)」は、サムスンやLGなどのTRIZ導入事例を体系的にまとめたもので、TRIZ指導者のモチベーションを向上させてくれる。シンポジウムのプログラムの内容は、次のようであった。以下に列記する。

<チュートリャル(入門者向けTRIZ概要セミナー)> <基調講演> <特別講演>
  1. 価値創生のための技術開発の文法(統計数理研究所:椿 広計)
  2. 何が韓国をこれほどまでTRIZに熱中させるのか?(韓国学術TRIZ協会:Jeongho Shin)
<特別セッション>
  1. トップ事象モードと故障モードに着目した未然防止へのシステム科学(電気通信大学:鈴木 和幸)
  2. リスク発見: リスク検知に向けて(島根大学:津本 周作)
<オーラル発表>
  1. アロワナ性別特定問題への体系的なアプローチ(タイ:TriZit Benjaboonyazit)
  2. 実践を通じたTRIZ活用の社内推進(潟fンソー:久永 滋)
  3. 古典的TRIZ3つの段階(黒澤 愼輔)
  4. 工学的矛盾に関する事例研究(日本VE協会西日本支部:田中 久嘉)
  5. 表面処理薬品におけるQFD,TRIZ適用事例(メルテックス梶F田嶋 和貴)
  6. TRIZを適用した『新商品・サービス』システム創出の枠組み(日本TRIZ協会:吉澤 郁雄)
  7. 逆転のリスク対策法I-TRIZ “AFD” のエッセンス(アイディエーション・ジャパン梶F上村 輝之)
  8. キャラクター商品のデザイン業務のプロセス改善に関する研究(早稲田大学:加藤 結衣)
  9. 今、改めて『使えないTRIZはない』(潟Aイデア:笠井 肇)
  10. I-TRIZを用いた知財制御(CIP)とアイデア創造の事例研究(ミノル国際特許:安彦 元)
  11. TRIZの活用を拡大する7つのソリューション(オリンパス梶F緒方 隆司)
  12. TRIZ手法のIT技術分野への適用の可能性(朝日特許事務所:太田 健)
  13. TRIZを含む科学的手法の効率的教育体系(オリンパス梶F藤川 一広)
  14. TRIZ(革新的問題解決理論)による効率的な発明展開手法の提案(インスパイア:齋藤 達也)
  15. TRIZによる部品削減設計U(潟Aイデア:井坂 義治)
  16. TRIZ的問題解決の技術動向と分析(潟pットブレーン:片岡 敏光)
  17. JNC株式会社におけるTRIZ導入の取組み(JNC株式会社:吉田 尚之)
  18. 電動歯ブラシの技術開発動向と新商品発表履歴に関するSカーブ分析とその評価(ソニー梶F石原 弘嗣)
  19. 創造的な問題解決・課題達成の一般的な方法論−構想−(大阪学院大学:中川 徹)
  20. 鈴鹿高専に於ける知的財産教育活動(鈴鹿高専:大津 孝佳)
<ポスターセッション>
  1. これから「TRIZ」の話をしよう(長井 哲也)
  2. 特許情報と市場情報による発明の価値評価(その3)(日本TRIZ協会:長谷川 公彦)
  3. 時間分離の考え方を応用した若手技術者育成セミナーの構築(USITものづくり技術サポート:古謝 秀明)