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プロフェッショナルのキャリアパス - 今、キャリアパスは存在するのか? -
 2001年にソニーが、将来の社長候補の早期選抜を含むリーダー育成で、30代、40代社員を中心に次世代リーダー候補を選び、経営トップ自らが配置転換や教育方針を決める制度を発表した。これは経営プロフェッショナル育成法の例である。
 ”プロフェッショナル”のキャリアパスはどうすればよいのだろうか。中村修二氏のいうように自分の思うがままやりたい研究・勉学に取り組める環境に身を置き挑戦することも一つの解である。私が、企業の技術者としてぜひ薦めたいのが、意識的にキャリアプランとして、研究・技術開発、製品(商品)開発、生産システム開発、マーケティングまで見渡せる業務を、ジョブローテーションなどのチャンスをものにして経験することである。現実の企業では難しい面もあるが、意識するかしないかでチャンスも何倍も違ってくる。企業にとっても、開発した人がそのまま量産まで担当すれば、初めから量産性を考慮するため、開発期間が半減できるはずである。そうすることで、自分に合った業務かどうかもわかる。
 高度技術者や先端技術の研究・技術開発者の場合は、粘り強く最後までやり遂げる行動力や新しいことにチャレンジしながら自分の能力を高めていく能力などのコンピテンシーに依存するため、それらを伸ばすチャンスとその場を与えることに人材開発の主眼を置くことが企業の役目となる。あらゆる職種にいえるかも知れないが、自らのキャリアパス、高業績者のキャリアパスから判断して、キャリアパス構築法を次のように提言する。

 @ 自分より高いレベルに目標を設定し自分の仕事を膨らませることでキャリアは確実にアップする。
 A 成果を外部に発表したり、開発した商品を外販したりして多くの人の洗礼を受け、自己の市場価値を認識しキャリアを磨くことである。

 図は、それらの考え方を主に研究者・技術者用として例示したものである。



図 キャリアパスの例示

 自分の専門性および創造性を磨くことが技術者にもスタッフにも求められている。そのためには、高い目標にチャレンジできる仕事を実践しコンピテンシーを高めることがキャリア差別化のポイントである。 私が30代リーダー時代に指導してきた人材育成ポリシーを紹介する。

 @ 新テーマには必ず一つは新技術を導入する。
 A 企画立案時のアイデアは最低10以上を立案し、最終的に2〜3案に絞り込む。
 B 文献はそのまま信用しない。

 その代わり失敗予算を計上しておいた。つまり、先入観にとらわれず課題に対してブレイクスルーさせ、コンピテンシーを磨かせるためである。その結果、若い人達は高い目標にチャレンジし失敗の教訓を活かし失敗費用の10倍以上の利益をもたらしてくれた。  さらに、人材育成の視点から、仕事で成果を出すためにどうすればいいのか追求していたところ、現在の座右の銘に出会った。「We become what we think about.」 である。それも、コンピテンシーの概念で説明がつく。つまり、高い目標を掲げ最後までやり遂げようとすることや業務プロセスを深く観察し洞察力を発揮させることで不可能も可能に近づくのである。