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粘性継手

1 解説
 粘性継手(Viscous Coupling) は、入出力軸にそれぞれ結合された円板(または円筒) を、すきまが十分小さくなるよう配置し、すきま内の流体の粘性に基ずく剪断力によって動力を伝達する装置のことを言う。
 特徴として、構造がシンプルで信頼性、安全性が高いため、自動車用として主に使われている。具体例として4WD 車の前後軸を粘性継手で結んでいる。駆動軸がスリップ等の過負荷を受けると、自動的に駆動していない軸に駆動力を配分する。通常は、前後輪の回転差はほとんどないので駆動力を伝えず、駆動軸にスリップ等が発生すると、前後軸に回転差が生じ粘性継手に入力回転が加わる。また、自動車用の粘性継手は、シリコンオイルの剪断抵抗を使っているため、温度変化によるオイルの粘性変化が特性に直接影響する欠点もある。

2 所見
 自動車用粘性継手は、競合が少なく、圧倒的シェアを占めてきた。最近、従来の粘性継手の欠点を改良した製品がいくつか出現している。例えば、オリフィスとポンプを組み合せて温度安定性を改善したもの、多板クラッチでトルクを分割してスティクスリップによる振動、異音を防止したもの等がある。このように競争による進歩も必要である。
 近い将来、粘性継手採用車が一般的となろう。そして、粘性継手の制御部に電子制御も加わり、より高精度で安全なコントロールが可能となると予測する。