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水素吸蔵合金

1 解説
 水素吸蔵合金とは、水素と反応し水素化合物を形成することにより、固体水素と同等かあるいはそれ以上の密度で水素を貯蔵することができる。さらに、加熱、冷却することにより、可逆的にかつすみやかに水素を吸収、放出させることが可能な合金のことである。また、この吸収、放出には、比較的大きな化学反応熱を伴うことから、単に水素貯蔵材料としてだけでなく、エネルギー変換機能を有する機能性材料としても利用できる。
 用途は、ノートパソコンやカメラ一体VTR のニッケル水素電池、ヒートポンプ、水素自動車等が主となっている。

2 所見
 ノートパソコンやカメラ一体VTR のニッケル水素電池は、軽薄短小のニーズに、ヒートポンプや水素自動車は、代替エネルギーとしての地球環境問題のクリーンなニーズに合致しており、必要性が増している。今後の課題は、合金コストの低減化および合金の劣化がかんがえられ、合金開発を急ぐ必要がある。
 水素は酸素と反応して水になると、エネルギーが発生する。このエネルギーを自動車のモーターに利用したものが燃料電池自動車となる。燃料電池自動車は化石燃料を使わず、温暖化ガスを排出しないので、ガソリン車と置き代えられれば、エネルギー問題や環境問題を解決する。しかし、その普及には一回のエネルギー補給で連続走行できる距離(航続走行距離)を伸ばすことが課題でる。ガソリン自動車の航続走行距離の目安である500kmを燃料電池自動車で実現するには、何と約60000リットル(室温・大気圧)もの水素が必要になるとされている。燃料電池車の実用化のためには、固体中に水素を吸蔵できる水素貯蔵材料の開発が不可欠なのである。