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電気粘性(ER)流体 (Electro Reological)

1 解説
 電気粘性(ER)流体とは、電圧で粘性を制御できる流体の総称である。電気粘性流体には、シリコンオイルなどの絶縁油中に粒子を分散させた『分散型』と液晶を電気粘性流体として使う『液晶型』の2種がある。
『分散型』の原理は、電圧をかけると電極間に発生した電界によって、流体中に分散した粒子が分極し、粒子同士に引き付けあう力が生まれ、電極間に粒子が数珠状に並ぶ。この粒子鎖が流体の流れを阻害するため、見かけ上、粘度があがったようになる。
 用途は、可変減衰力ダンパ、クラッチ、空気圧シリンダ等である。

2 所見
 従来の電気粘性流体は、粘性の変化幅が小さい、特性が不安定、経時変化があるなどの欠点があり、応用例が少なかった。最近の新しい電気粘性流体は、特性が安定し信頼性が増したり、流体中に水を含まない材料を使って、使用温度範囲を広げたりの改良を加えている。
 今後は、サスペンション、防振ダンパ等の自動車関連やロボットアーム等幅広く応用可能と考える。なぜなら、機械を設計するとき、普通は粘度を定数として扱うが、電気粘性流体は、粘度を変数にできる点で機械設計の概念を変えるためである。