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水素ガス脆性

1 解説
 水素ガスに起因し、ある値以上の応力を加えることにより、数分から数年後の広範囲の間に突然発生する破壊の性質を水素ガス脆性と呼ぶ。
水素ガス脆性の特徴は、
@ 遅れ破壊しやすい材料を使用した時に発生しやすい。
A ある値以上の応力を加えた時に発生する。
その対策としては、水素を発生しにくくすることである。つまり、水素は、電気メッキ工程の酸やアルカリの洗浄で発生するので、極力電気メッキを避ければよい。また、ボルト等の材料から水素を除去する方法もある。それには、ボ・ルト等の材料をベーキングして材料に封じ込められた水素を除去する。

2 所見
 多くのボルトは、腐食や振動、ネジ山のつぶれなどの原因で破壊している。発生する時期の予測できるものは対策しやすいが、水素ガス脆性によるものは、予測が難しい。
 水素ガス脆性によるものの例として、自動車エンジンのシリンダヘッドを締めつけているボルトがある。ここでは、締結部の信頼性をあげるため、、塑性変形するまで初期荷重をかけて軸方向に働く力をふやしており、非常に水素ガス脆性による破壊が発生しやすい。そのため、熱処理、形状等に十分な注意が必要である。