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形状記憶合金

1 解説
 通常の金属は、一旦力を加えて変形させてしまうと、加熱したり、冷却しただけでは元の形状にもどらない。ある種の合金では、室温で変形を加えても、ある温度に加熱すると、元の形状にもどる性質を示す。このような合金を形状記憶合金と言う。
形状記憶効果の原理は、次のようである。高温で剛性の大きなオーステナイト相で安定している金属が、冷却により剛性の小さいマルテンサイト相に安定し、外力により容易に変形するようになる。この状態から加熱すると、再び元の剛性の大きなオーステナイト相に戻り、その際に力を発揮する。この性質を利用している。
形状記憶合金は、変態温度を鋼よりも、はるかに低い温度が可能で、主なものはチタンニッケル合金である。

2 所見
 応用例として、エアコン の風向きフラップに使用した例は、吹き出す空気が暖かい場合は、風向きフラップを下向きにして、吹き出す空気が冷たい場合は、風向きフラップを上向きなるようにしている。これは、駆動アクチュエータと温度センサーを兼用させている。また、変形しやすい携帯用電話のアンテナやメガネフレームの例やブラジャーの例が普及しているものである。
普及の面からすると、家電品や衣料品が効果的である。今後、チタンニッケル合金だけでなく、アモルファス合金や銅合金も開発中で、コスト面での開発が主となる。また、ロボット等への適用も、特に医療用を主に推進する必要がある。