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STM(走査型トンネル顕微鏡)

1 解説
 STM (Scanning Tunneling Microscope) の略で、0.1ナノメータオーダまで測定できる3次元測定器である。導電性試料表面と金属針との間に間隙をもたせて数Vの電圧でも通常は電流が流れない。間隙が数nm以下になるとトンネル電流が流れる。電流が一定になるように金属針を制御することで精密測定ができる。測定できる試料は導電性物体に限られる。
 走査型トンネル顕微鏡は、金属探針を試料表面上で水平(X、Y)に移動させ、常にトンネル電流が一定になるように探針・試料間距離(Z)をフィードバック制御している。そのときの垂直方向移動量をマッピングし、表面の形状を得ることができる。  水平・垂直方向の移動は、通常、原子1個のサイズよりも小さい精度で距離制御が可能なスキャナで行われ、単原子同士の相互作用を検出できるため、STMは3次元的に原子分解能を持つ顕微鏡となるわけである。  
 走査トンネル顕微鏡は、1981年にノーベル物理学賞受賞のIBMのBinnigとRohrerらによって 開発された顕微鏡である。標準的な表面観察装置として、多くの他の表面分析装置と並ぶ地位を占めている。この発 展は、主として原子を1個1個観察することができるという高分解能が理由である。この事により表面上にお ける従来の平均値的な情報とは違った全く新しい情報が得られるようになった。また、測定環境が広く 真空中のみならず、大気中、液中でも動作するため、金属の表面のみならず、高分子や生体物質なども測定対象とで きるため応用範囲が非常に広く、原子配列だけでなくトンネル分光法によって表面電子状態も測定することができるこちが特徴となっている。

2 所見
 特になし