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焼き戻し脆性

1 解説
 合金鋼をある温度範囲で焼き戻した時、あるいは、その温度付近を徐冷した時に生じる脆化現象をいう。475℃付近で見られる高温焼き戻し脆性は、P、Sn、As、Sbなどが結晶粒界に偏析し、粒界破壊しやすくなることによって生じる。300℃付近で見られる低温焼き戻し脆性は、膜状セメンタイトの析出、粗大炭化物の析出、不純物元素の結晶粒界偏析などによって生じる。
 500℃前後の焼戻しで生じる一次焼戻脆性及び更に高い温度の焼戻し後の徐冷で生じる二次焼戻脆性を高温焼戻脆性といい、300℃前後の温度に焼戻しした場合にみられる焼戻脆性を低温焼戻脆性という。
 例えば、第一次焼戻脆性の原因は、450〜525℃付近に焼戻ししたものが、その後の衝撃力を受けたとき脆性的に破壊(波面がフラットな破壊)する。焼入れ前のオーステナイト粒界にそってリンなどの不純物元素が偏析し、粒界結合力を弱めるため生じる。対応策は、次のようなものになる。
@MoまたはWの添加を行う
Aリンを低減する。
B急速加熱による短時間焼戻しを行う。(ただし、同一強度にするには焼戻し温度は高くなる)
C焼入れ温度を低くし、オーステナイト粒を小さくする。
D不完全焼入れ時に生じやすいので、焼きを完全に入れるようにする。


2 所見
 特になし